ネタバレ?感想 野上武志 『はるかリセット』2巻

はるかリセット 2 (チャンピオンREDコミックス)

 大体の内容「休日、俺の休日技!」。ということで今回も春河童先生の休暇を眺めていくだけの漫画。それが『はるかリセット』なのです。
 さておき、今回この項で初めて『はるかリセット』に触れる方がいる可能性はゼロでしょうが、それでも大雑把な作の概要を説明すると、春河童こと天野はるかさん(女性:文筆業)が、執筆の合間やオフ日に休暇を満喫する漫画です。簡潔に言うと、はるかさんが休んでリセットする話です。
 ただの休みの話が面白いのかよ! 案件ですが、既に人類はおっさんがただ飯を食うだけの作品に魅了されているのであり、その新たな分類に、女の人が休むがエントリーだ! しても全然問題がない。そう感じさせる一作となっています。
 今回のはるかさんはアグレッシブにすると休暇が捗ると勘付いたのか、色んなとこに行っています。休暇の師匠筋(?)のお誘いにほいほい乗って、サンライズ使って東京から香川へ、そして連絡船うどんを、食って即帰る、というのもやっちゃいます。連絡船うどんは2021年11月で閉店してしまったので、聖地巡礼行動が出来なくなってますが、それはさておき。
 讃岐うどんを食いに東京から行って、それも寝台列車で行って、なのに一食で帰る、というのは中々に豪の者です。師匠、師匠の肩書は伊達ではないのです。近いとこの人でも、あと二、三食は食って帰りたいと思うところなのに、東京から行って一食で、ですよ。とんでもない所業です。その讃岐うどん回の前の師匠回で、ちゃんと観光して食って飲んで、しているので、尚更ここでうどん一杯に東京から、が際立ってきます。サンライズに乗って、うどん食って、帰る。それだけの行程なのです。
 しかし、それに痺れるッ! 憧れるッッ!! ですよ。あるいはスリム! とも言えましょうか。暇の時間をあえてそういうワンポイントのネタに費やす。ごてごてしたものは付けない。というのは、それは無駄なのでは? という意識が光速で首をもたげ過ぎてむちうちになるレベルですが、しかし、だからこそだろうがっ、ってコミックマスターJも言ってた。(言ってない)
 つまり、休暇の在り方というのを、我々が(無意味な全体化)勝手にイメージ付けしているところに、カウンターカルチャーとしての『はるかリセット』が、そんなのでいいのかい、君たちぃ?(ニマァ) してくるのです。
 そこで、なにを! となるのは安いプライドですが、安いプライド、だからこそだろうがっ、ってコミックマ(略)。
 我々は(無意味な全体化再び)、もうちょっと自由に休日を味わっていいのではないか。もっと言えば、もうちょっと無茶苦茶な休日だってありなんじゃないか。そこに無駄とか、そういうのはない。あるいは、無駄とも言える休日の過ごし方にこそ、休むという行為の核心があるのではないか。
 そう語りかけてくるような漫画なのです。
 そういう意味ではサンライズ讃岐うどん回は、この漫画の振れ幅としては流石に極北ですが、それでも、そういうのいいなあ、と思わせる回はほとんど全部です。
 中でも分けていくと、公園の池でボートに乗る回などは大層良いものでした。最終的に天候のせいで台無しでしたが、そういう休日もある、これはこれで趣きなのだ、というのがお出しされて、この漫画の振れ幅が俄然上がっています。『孤独のグルメ』のアームロック回みたいな存在です。
 後は博物館回が大変良く。郷里には博物館がそんな無いので、そういうとこ行ってみたいという欲望は常々あるんですが、一日いても回りきれない、という情報を聞くと、取るものも取らずに駆けだしたくなる衝動に駆られます。展示内容も常設でも大変面白そうなので、本気(マジ)行軍(イキ)たいですね……。
 さておき、そういう感じで、休暇を堪能するのを見て、我が休暇直せ、させられる漫画なのが、『はるかリセット』なのです。休暇が苦手な日本人こそ、堪能すべき漫画と言っていいでしょう。あと、OPPAIの大きいお姉さんが好きな人にもベネ!
 と最後わりと最低な誘導をしつつ、今回はここまで。