ネタバレ?感想 野上武志 『はるかリセット』7巻

はるかリセット 7 (チャンピオンREDコミックス)
はるかリセット 7 (チャンピオンREDコミックス)

 大体の内容「(この漫画の手数は)永遠じゃねえ、無限だよ」。と謎の大体の内容入りをするくらいには、その休息というテーマに対する手数が半端ないという事実が浮かび上がり始めたのが、『はるかリセット』7巻なのです。
 正直申しまして、この漫画が長く続くとあまり思っていなかったのです。いくらなんでも休息だけではネタが切れよう。という、今思えば完全に筋違いの見立てをしていたのです。
 だがしかし! まるで全然! ネタ切れになるには程遠いんだよねえ!!
 というどっかの4顔するくらいに、この漫画のネタに切れる素振りがありません。今回も梅の仕込みから茶摘み体験まで、非常に幅広い休息をしています。ネタが切れるということはないのか、この漫画は!
 特に茶摘み体験とそのお茶を飲む回が二回が今回の白眉。どちらも違う方向性で労があるタイプなんですが、それが休息になる、という展開を見せられてアイエッ!? ってなりました。体使うのが休息に!?
 これは積極休息というやつだ、というとそれはそうなんですが、最初の茶摘みって完全にレベルの高い重労働です。手のむしる動きもあるし、溜まっていく茶葉が重くなるだろうし、日中じゃないとだから暑いだろうし。実際、春河童先生も大変そうにしていました。しかし、それによって凝り固まった体がほぐれて、というので積極休息、恐るべし! ってなるよりしょうがない。むしろ、それならやってみたい、とすら思わされます。春河童先生が特殊な体質だった可能性もありますが。
 さておき、その後の摘んだお茶を飲めるように手仕事するとこも、手仕事として手間のかかる奴に見えました。結構時間もかかっていたし、手で揉まないといけないので面倒くさそう。ですが、それによって生み出されるお茶の良さ、というのがちゃんと表現されており、茶摘み体験と併せて楽しめる、というのも含めて大変よいものであると感じさせられました。茶摘みも手もみも、いいな! ってなります。
 というか、春河童先生の休息は全体的に見て大変良いものに見えるというか、隣の芝生が青いやつ。でもその色眼鏡を差っ引いても、やはり大変良い体験、良い休息に見えます。この良い休息をするのだ! とする春河童先生の無言の圧、語らないで体験を見せつけるというのがこの漫画の強みです。漫画という読み物だからこそだせる、文章だけでも絵だけでも出せない雰囲気。それがこの漫画の最強な部分でしょう。特に見ていて、ああ、そんな休息したい! というのもありますが、そんな休息なら出来るかも? とする部分もあるのがこの漫画の強み。休息に対するハードルの上げ下げが絶妙と言えるでしょう。偶にぶっ飛んだの、この巻だと茶摘み体験とかぶち込むけど、それくらいなら、という梅の仕込みみたいな回もある。その幅!
 休息というのは、色々なものがあるけど、色々なものがあるんだ。そういうなんかトートロジーをしてしまうことを、この漫画は描き続けているわけですが、この巻もそれにそぐう形になっていました。羨ましい休息もあれば、それなら私も出来るな? というものまで、それが休息になるんですよ。そう語りかけてくる漫画であります。
 でも、流石にそろそろネタ切れ可能性はあるのか? そういうのを全く見せはしないけど、実際大変なのでは? とか老婆心もバキンバキン出てきますが、そこをやはり軽やかに超えてほしい。そういう漫画なのです。