私の愛したトレモ 第3回『ストリートファイターEX3』

冒頭

 皆さん、スト6に励んでいますか? 筆者はランクマ行くよりバトルハブでまったり、偶にがっつり対戦する濃淡のあるプレイで遊んでいます。ランクマをゴリゴリやらなくていいのは大変ありがたい仕様です。やりたい時にやっていい、というバトルハブが持つゲーセンアトモス。こういう程よく気の抜けた付き合いをしてもいいのが、スト6の良いところだと思います。
 ランクマというとトレモ待ち受けもありますが、時に待ち受けせずにトレモに篭ることもあります。オンライン上だと、入ってくるかもと気がそぞろになっていけないのです。集中してやる課題があるなら、やはりオフラインのトレモ。これです。
 という枕はさておき、今回もトレモ懐かしみの文章を書いていきます。今回はプレイステーション2ローンチのアリカ作『ストリートファイターEX3』(以下EX3)を引き合いに出してみます。このゲームの妙味を知る為には、トレモは必須でした。普段では分からない細かいところを知るトレモといった風情だったでしょうか。ネット対戦なとまだまだ夢の世界だったが故に、オフライン状態でモリモリトレモした時代の徒花。そういう話です。
 それではいってみましょう。

トレモとしては標準ではある

 EX3のトレモは、所謂(所謂?)『鉄拳2』以後なので、体力及びEXゲージの設定やガードするしないなどのベーシックなとこはちゃんと備え付けられた、はっきり言えばベタではあります。特に跳び抜けたところはなく、でもそれはそれでベタゆえに安心して扱えるタイプのトレモではあります。
 しかし、EX3には独自のシステムとして2キャラを扱う為、交代、チェンジというのがありました。これは交代ゲージが満タンなら交代できるものですが、この回復速度がトレモでは通常時より爆速でした。ここが、このゲームのトレモを面白くしたのです。

交代を絡めたコンボや連携の模索

 この交代、通常技や特殊技、あるいはタイミングさえ合えば必殺技からも交代可能でした。これにより、コンボや連携に幅が多量にあったのです。連続技から必殺技キャンセル交代しつつ、交代までの動ける時間にスーパーコンボを出してコンボしておく、というのも可能。そのスーパーコンボは最後まで出るので、攻撃が長い技ならそれをしている間に交代したキャラで更に追撃可能になり、コンボの自由度が爆上げだったのです。
 特にケンは必殺技から必殺技を出す行動でファイヤー昇竜拳から空中竜巻旋風脚と当てていくだけで大ダメージ且つ攻撃を長く当てられて追い打ちしやすかったり、超技の疾風迅雷脚が長く相手を拘束出来たり、また交代で出た後でも神龍拳の最低保証分でも大ダメージが出せたりと、コンボ面で非常に優秀でした。とりあえずコンボしたいときはケン、と言うレベルです。
 また連携面でも、交代から投げをすることで、投げた後に交代要員がその投げられた相手を追撃出来る、というので、昇竜拳持ちなら密着で投げと無敵の昇竜拳の二択を迫ることが出来る、という強引な手段がありました。この場合、昇竜拳をガードされても交代で隙がない、という二段構えも可能なので、近距離で交代されたら地獄が待っています。
 この研究に、交代ゲージ回復が爆速だったのが影響しています。そもそも最初からゲージ無限でもよかった、とは思いますが、それでも回復が早いがゆえにトレモ限定コンボ、と言うのも可能でした。これを考えるのもまた楽しかった。
 例を挙げるとダルシムはヨガドリルキック、ドリルキックの多段バージョンみたいな超技を空中で使えるんですが、これは上手く当てると先に着地して相手が浮いている、という状況に持っていけます。そしてこのヒットの時間が結構長く、その合間で交代ゲージの回復が終わる、ということで後は分かるな? という仕様になっておりました。空中に浮いていきながら攻撃する超技ヨガレジェンドからヨガドリルキック出すのをワンセットとして考えると、適当なコンボから交代して先に出たキャラで拘束時間の長い攻撃を出し、そこにダルシムを出してヨガレジェンド>ヨガドリルキックして、着地交代からコンボを伸ばす、というのがトレモ限定で出来たわけです。これが楽しくなくて何が楽しいのか!
 さておき。
 このゲームで更に熱いのが、二キャラを同時に出して超技打ち放題になるシステム。名前はクリティカルパレードだったかで詳しくは忘れましたしググりもしません。当然、相手を挟むのでコンボが無茶苦茶楽しいのですが、キャラが動けると左右で同じ入力の行動をする、というのがミソ。左のキャラを基点として真空波動すると、右のキャラは真空竜巻をする、という形になります。長く当てるなら当然相手を変に浮かせる技とかは入れたくない、んだけどどうしてもそういうのが漏れる。というので、それでもなんとか綺麗に繋げられる組み合わせがないか、と試行錯誤するのも楽しかったです。片方タメ系で片方コマンド、とか。
 またEXシリーズは通常なら超技キャンセル超技は出来るゲームでしたが同じ技の連打は出来ない、んですがクリティカルパレードの時は別で、同じ超技を連打することが可能でした。これでガルダというキャラのなんか周りに鬼火が出る超技を溜めながら同じ技を出しまくると超多段ヒットするようになる、というのがあってぶっ壊れでした。システムの方が交代ゲージMAXで且つ両キャラにスパコンゲージ3本の内の2本、それぞれ必要、というのでハードルは高いんですが、研究によってそれに見合う火力が出せるようになったのも楽しかったですね。

EXシリーズの矜持

 ストEXシリーズは、スト2を今の地位に上げた立役者の一人、西谷亮さんが独立して作ったアリカ制作であります。それゆえなのか、ストEXシリーズはストリートファイターシリーズと違う味わいを入れよう、というサービス精神がよく出ています。超技から超技をつなぐスーパーキャンセルもそうですし、空中コンボの幅の広さもそう。メテオコンボという3ゲージ技の発案や、EX2のエクセル、EX3の交代などもそれに入ります。そりゃあ、ストリートファイターシリーズがあるんだから、違うようにしないといけないのは当然ですが、それでも結構攻めた仕上がりをしています。
 そんな中でEX+αシリーズ、つまりPS移植版では今ではよく見るコンボトライアルがありました。恐らくコンボトライアルがあったのはEXシリーズが格ゲー初だったかと。そういうので、色んなコンボや、あるいはコンボ絡みの特異な動きを求めるお題があり、それをクリアするとキャラクター解放、というある意味時代を感じるやつでした。
 だったのですがEX3ではこれはなくなりました。代わりにキャラクター育成というか、色んな技を覚えさせて俺キャラが作れるようになりましたが、個人的にはタッグ絡みのコンボを提示してくれても良かったかなあ、とかは思います。自分で発案するのが楽しかったのは楽しかったんですけども、作り手が想像する無茶なタッグコンボとかも見たかった。
 それは私のないものねだりですが、それでも交代についてはかなり考えられていたのがやっていくと分かってきたので、その辺の面白さに対する矜持はあるんだなあ、とか思いました。でも出来る無茶コンボも見たかった。

まとめ。そうねえ。

「トレモだけで可能なことというのは何とも楽しい、ってことでいいじゃないの?」
「そうですね」
 というのはさておき、EXシリーズは攻めたシステム入れる印象でしたが、交代というの一つでここまでトレモで遊んで楽しめる仕上がりなのは、流石アリカと言う感じです。最初から交代ゲージ無限でもよかったのでは? とは思いますけども、まあそこの調整が出来てなかったのかもなあ、とか。PS2ローンチですから、致し方なし……。
 さておき次回は出来たら『GGX』の話をしていく予定です。だいぶ記憶にしっかり残った格ゲーなので、色々書けたらいいなと。
 ということで今回はここまで。したらな!