ネタバレ?感想 広江礼威 『BLACK LAGOON』13巻

ブラック・ラグーン(13) (サンデーGXコミックス)
ブラック・ラグーン(13) (サンデーGXコミックス)

 大体の内容「アウトローが定着する為のエトセトラ」。ダッチの命を狙う”五本指”の一人、ルマジュールが離反し、”五本指”が壊滅した後、ルマジュールがロアナプラに定着していく様が描かれるのが、ブラクラ13巻なのです。
 ”五本指”壊滅は電撃的でした。そもそもホテルモスクワが介入した時点で一方的になるのは目に見えていましたが、それでも瞬く間に擦り潰される様は背筋が凍るものがあります。ほぼ軍隊だからそりゃあ、なんだけど、やっぱバラライカこえー。
 ということでその擦り潰しに一枚噛んだ形になったルマジュール。なんとか三合会の会合でロックに取りなしもあり、ホテルモスクワの鉄砲玉という恰好になって、この件は落着します。
 そこから始まる、ルマジュールロアナプラ定着のプロセスがこの巻の白眉というか。
 今まで後ろ暗い街としては理解はあったロアナプラ。その裏というのがどういうものか、そこでどう生活するか、という感じでそういう時に必要なとこを巡っていく回があるのです。
 こういう部分が出されると、今までのロアナプラ理解に更なる発展があります。無駄に弾の出てくる泉とかないし、寝る場所とかもちゃんとしてないといけないし、そもそも鉄砲玉として撃ち出される時までちゃんと生活していかないといけない。なので、その為の施設などの話がされるのです。
 そういうある種当然のところをこうやって綿密にやられると、この漫画も話と存在の深度が増したなあ、という感想がもろっと出てきます。この漫画、今までスーパースターばかりが目に付く形のものでした。しかしそこに生活、それも裏家業の、が追加されることで、そこに生活する人というのがくっきりと浮き上がってきて、一気にこの街がある、という雰囲気が醸し出されるのです。
 それがいい悪いで言えばいいのです。イダタツヒコ先生がより胡乱なロアナプラを顕現させて、それはそれで裏の裏の世界として不穏さを入れ込んでいますが、そこに更に普段使いのロアナプラ、というのが加味されることにより、更に存在感というのが増してきている。仮想の場所だったロアナプラに、ルマジュールによって更なる息吹が吹き込まれ、解像度が増した、という訳です。
 さておき。
 ルマジュールについても語りたいですが、結構長くなりそうなので要点だけ。
 ルマジュール、と名乗っていて実は日系で日本語が話せるキャラ、というのでこの漫画では貴重な存在になっています。ロックが普通に地元の言語は話せる、んだけど日本語には飢えているほどではないにしても耳にしたらつい日本語で話してしまう、というのがルマジュールとの会話で明らかになります。同郷の言葉、というのはそれだけ恋しいものかもしれません。
 そしてレヴィは日本語分からないので、ロックとルマジュールの会話が日本語でできる、というのがいつか何かしらネタとして使われそうだなあ、とか思ったりも。なんかその時はルマジュール死にそうなアトモスフィアを感じたりもしますが。ルマジュール関係はろくな事なさそうなんだよなあ。
 そのロック、今回は張の旦那と結局自分はどうありたいのか、という話をします。ロベルタ再来編で「ロベルタ達を助けたかったのか、頭の痺れるギャンブルがしたかったのか、あるいは両方かも」(意訳)と張の旦那に言われたロックが、そこから二つの事件を経て、自分のしたいことに辿り着く。なのでわりと重要な話です。
 何をするか、というのはネタバレ過ぎるので見てください! とシャクティ声ですが、なんというか、思った以上にヤバめの地点に到達しやがったな、というのが感想としてもろっと出ます。そうきたかー。と烈海王顔ですよ。でも、納得はできる地点ではあり、でもそうなるとロック、お前相当無茶なことしないといかんのかもよ? というのも出てきたりも。それくらい思い切った覚悟になっています。
 はたして、その決意がロアナプラに何をもたらすのか。あるいはロックかなりひどい目に遭う可能性が絶大なんだけどその決意大丈夫か? それある意味丁寧な振りだぞ? とか思いつつ、今回はここまで。