大体の内容「ブレイブマン、しっかりー!」。あんたがしっかりしないと、この漫画変な方向に向かいかねないから、マジしっかりしてくれ! となるのが『残念女幹部ブラックジェネラルさん』11巻のターニングポイントなのです。
先に書くと今回はちゃんとネタバレするので、ネタバレはおえん! という方は早くブラジェネさんを読むんだ! 読んでから読んでくれなさい!
さておき。
11巻は単話や掌編など、細かい話主体のオムニバス形式な巻となりました。ありがたい。
何故ありがたいのかをぶっちゃけ言うと長編はこの漫画は向いてないというか、jin先生の真面目さがこの漫画のトンチキさとコンクリフトを起こしてしまって、変な方向におかしくしてしまう現象がたびたび目撃されていたので、そうなることが少なくなる短いのはありがたいのです。
そう言う意味では、この漫画の基礎地盤がそもそもシリアスな長編に向いていない、と言えるのです(言い過ぎ)。
しかし逆に言うと単話や掌編ではむしろこの建て付けが奏功することが多く、短距離で突っ走ると面白いのです。
詰まるところ、この漫画は短距離向きであり、それを無闇に長く走らせると不具合が、と言えるかと思います(言い過ぎ)。
その短距離の早さが如実に出るのがメタバースの怪人回。メタバースでヤバい事している奴がいる、と言うのをカカッと説明し、それを仲間にしてみるか? と接触を図るも、という内容ですが、様々なネタをこなしつつすぐ終わる、というスピード感が素晴らしい。
メタバースの怪人が相当の能力があるけど思想がマジ終わっているのも4、5ページでしっかり理解させられるのも見事。
その上で対処法もダイレクトでグレイト。単話としは白眉の出来でした。
こういう話は満足度高いなあ、などと、そんな呑気をしていた俺の姿はお笑いだったぜ。
ここで、単話ながら後に尾を引き過ぎてこの漫画大丈夫かな? というネタがぶち込まれます。
ブレイブマンが、ブラジェネさんとキスをしてしまったのです。それも、ブラジェネさんがある理由で不眠し過ぎてて病院に担ぎ込まれ、それに遭遇して寝てても動きがおかしいのを目撃し、仕方なしに押さえていたら、流れでしちゃいます。
ほぼ事故のキスでしたが、それでブレイブマンがブラジェネさんの唇を意識してしまう、キスのことを思い出してまともに戦えない、までになってしまいます。
なので、この文の冒頭にしっかりー! となる訳です。
これは相当デカいことなんですよ。今まで異性として認識してなかった、これはこれで酷いんだけどさておき、そんなブラジェネさんに対して、キス一つで超絶意識しちゃう! というのは、この漫画の根幹、通らない愛が、通りかねないという地点に来てしまったのです。ブレイブマンにそういう免疫ないにも程がある!
て、jin先生もあとがきで話は始まったら終わらないといけない、としていますが、この漫画のゴールはブラジェネさんの愛が成就することであるのは論を俟ちません。
そしてこの巻でその方向についに舵を切った。それが、このブレイブマンがブラジェネさんを意識しちゃうことのデカさの所以です。
実際問題、ブレイブマンとブラジェネさんはマルチバース回で他の世界では恋人同士だった、というくらいには根本的にはくっつく間柄だとは提示されていましたが、この漫画の世界ではくっついてはならない関係性です。なので、それならどうなるんだろうか。一生このままなのかな。
などと、その気になっていた俺の姿はお笑いだったぜ。
そう笑うくらいにデカい舵の切り方です。これは俄然、野次馬には堪らぬ展開です。連載10年近くでとうとう動く! そりゃあ今まで追いかけてきた者としてはタマランチ。
ただ、あまりにデカい舵の切り方なので、そのまま舵切り過ぎで転覆する気かな? と思わされる部分でもあります。ブレイブマンの逃散とか見ると、かなりきっちり解決しないとあかん状態です。
つまり、かなり不可逆な地点になってしまっているので、ブレイブマンの去就が気に掛かり過ぎますし、ブラジェネさんも場合によってはかなりデカい変転しなくては、かもしれません。マジでこの漫画のベタ基礎の部分を揺るがしているので、どうなるんだこの漫画。
ということで、この漫画も最終章が近づいてきたような展開です。jin先生真面目だから本当にちゃんとしたオチをつけるつもりだろうけど、はちゃめちゃ大暴走! みたいなカオスになりそうで今からハラハラ。どうなっちまうんだ……。
とか杞憂しつつ今回はここまで。