対ありでした。のワンワードを勝手に解説してみる の13

対ありでした。 ~お嬢さまは格闘ゲームなんてしない~ 2 (MFコミックス フラッパーシリーズ)

先に前回

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この項について

 アニメ化! とアストロ球団顔をなさった皆様、いかがお過ごしでしょうか。元々不定期な更新だったこのネタも、いつの間にか二か月やってなかった格好です。いかんいかん。
 そんな中なので、いつの間にか新しい話が更新されていて、最近延び延びばかりだったので不意打ちされた格好です。とか言ってる暇があったら、とっととこの項をやれ、ですね。
 やりましょう。
 それではいってみましょう。

第13回『当身』

 当身とは、本当の意味は打撃のことですが、格ゲーになるといきなり当身投げ、つまり相手の技を取ってカウンターをする技の総称となります。この辺のことについては対あり作中でも語られますので、もうちょっとどうしてそうなったか、という経緯について語り散らしたいと思います。
 そもそも当身投げとは、ですが、これの始祖はSNKの格ゲー、『餓狼伝説』のラスボス、ギース・ハワードの持ち技です。当身投げなので、こちらの出す通常技をその動作中に当てれば、投げが発動する、というものでした。初期の格ゲーゆえに今からすると余分というか、無茶なとこもあるんですが、SNK格ゲーの一時代のものを作り出した初手でここまで奔放だったか、と今見ると唸らされたり、うなされたりします。
 さておき、この当身投げはその後『餓狼伝説special』、ガロスぺでギースが復活すると、更に洗練されたものになってきます。餓狼では当身投げされると変な感じがありましたが、ガロスぺでは成立すると一瞬ヒットストップ、当たった瞬間動きが止まる、があり、取られた! あるいは取った! という感覚を明確に得るようになりました。のちの当身投げタイプも、おおむねこのヒットストップで取った! という感覚を出すようになっています。
 ついでに、ガロスぺの当身投げは、上段と中段の二種類がありました。上段がジャンプ攻撃や必殺技、中段が下段以外の地上通常技、という風に当身投げ出来るようになりました。これも、以後の当身投げシリーズでどの技を取れるか、というのがはっきりしているようになっていることの先ぶれとなっています。
 このようにギースの当身投げは、その後の影響がかなりデカい技となっています。それだけエポックメイキングな技だった、と言えるでしょうし、当身シリーズには魅力がある、と言う示唆でもあります。
 さておき。
 作中では白百合様こと美緒さんが、鋼先輩の当身にご執心してしまっていました。そして、その理由が決まればかっこいい、だったのが大変に分かっているなあ、という上から目線が出てしまいます。
 作中でも綾さんが言っていますが、無敵技があるならそれでええやん、なのです。確かに昇竜系はすかせば隙が出来ますが、隙を晒すのは無敵技でも当身でも実は同じ。なら、発生まで特に無敵は無い当身系より、発生まで無敵の昇竜の方が相手にハマる場合が多い。当身系を使う意味が、無敵持ちには薄いのです。
 ですが、美緒さんの言うように、当身には得も言われぬ快感と妙味があります。相手の行動を見切った、という快感。『ストリートファイターEX2』でのヴォルケーノ・ロッソの当身系成立時の「バレてんだよ!」の言葉に心が揺れない格ゲーオタは存在しないのです。その格好良さの為だけに、それを練る美緒さんは、だからどうしたって俺たちのカリカチュアなんですよ。
 しかし、この鋼先輩の当身系、どういう風に使われていくのでしょうか。この作中では、有名プレイヤーはこぞって存在を無視している、というのに! と綾さんは言ってますけど、もしかしてこれが刺さっていく環境になるのか。それの呼び水として、美緒さんは成るのか。結局意味不明のままなし崩しで終わるのか。大会編、楽しみですね?
 と書いて今回はここまで。