対ありでした。のワンワードを勝手に解説してみる の10

対ありでした。 ~お嬢さまは格闘ゲームなんてしない~  1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)

複合グラップしますか?

この項の説明

 久しぶりに対戦したくなった元凶、江島絵里『対ありでした。~お嬢様は格闘ゲームなんてしない~』のワンワードをさくっと解説してみよう。やってやるデス! という項です。勉強になるのかどうか、とかは度外視して、勝手解説であります。その辺はご留意ください。
 さておき、それではいってみましょう。

第10回「複合グラップ」

 記念すべき第10回は、1話目からです。
 さておき、複合グラップとは。色々な入力を複合した投げ抜け、というものです。
 まず投げ抜けという概念について解説する前に投げについて。2D系格ゲーにおいて、ガードを無効化する投げというものは超有効打である、ということが初めになります。一番メジャーな格ゲー、ストシリーズにおいては、その嚆矢『ストリートファイター2』においては投げハメがプレイヤーが空気を読んで使わなかったくらい、強力でした(ウメハラ動画からの引用ですが)。
 その投げの強さは、最新作ストリートファイター5でも十分にあるのですが、それはさておき、その投げに対する対抗策、というのを色んなゲームでやり始めます。
 その一つが投げ抜けなのです。
 で、投げ抜けというのは投げを抜けるシステムです。ピコグラム案件ですが、つまり、投げを無効化する、というもので、大体は投げのコマンドをされた時にこちらも、というものです。これには色々な入力の仕方が、ゲームに拠って存在します。これを一様に複合グラップ、複合投げ抜けというのです。
 『対ありでした。』の話ではやっているのは2D系ですので、この複合グラップというのは投げられたら投げ返しつつ、打撃をされればガードする、というタイプの複合グラップと推察されます。そう、投げに対してはグラップ、打撃に対してはガード、という万能の防御方法なのです。
 そんな万能なのがあったら、対戦にならんのでは? と思われるでしょうが、そうは問屋がいかんざき。ちゃんと落としどころがあります。
 とはいえ、対ありの格ゲー、π4の詳細、というのはどうなっているのか分からないのでなんとも、ですが、おそらく早い打撃をガードしつつ、それより遅い投げに対して投げ抜けコマンドを入力するタイプではないかと思います。ストリートファイターシリーズを模しているので、そう判断することにします。
 で、この防御方法、打撃はガード、投げは投げ抜けという防御法にはどうしたらいいか、というと、少し遅れて打撃を出す、なのです。というのも、スト4の複合グラップは、相手の行動が少し遅いと打撃が漏れる、という弱点があるのです。つまり、そこを狙ってわざと少し遅らせて、打撃を置くというのが、この防御法への解法なのです。(そこに対して更に遅らせグラップとか、色々あるんですが、そこまでいくと読みあいがこんがらがるので、置いておきます。)
 複合グラップには他にも色々ありますが、これは実は3D系にも存在します。
 有名なのは『バーチャファイター』シリーズの複合入力の投げ抜けです。バーチャの投げ抜けは相手の最後に入力した方向とボタンで抜けるのですが、この方向を多重に入力して、様々な投げに対応する、というタイプの投げ抜けでした。
 その為、かなり複雑怪奇といえる投げ抜け世界で、スト4の遅らせグラップ並みに訳が分からないのですが、それはさておきそういうものもある、という話でした。
 で、複合グラップというのは、常にいいとこを取ろう、という人の習性というか、思考の偏りが生み出すものである、というものなのです。
 打撃も投げもシャットアウトしたい。そういう都合のいいことを、しかし成立させてしまう。そこまで、ゲームの内実というか、システムの隙をついていくのです。それはある意味人間の愚かさでもありますが、同時に優れた所でもあります。そういう意味で、複合グラップは人の業。そういえるのではないでしょうか。
 とまとめた感じになったので、今回はここまで。